
6月14日(水)高校礼拝説教 マタイ 9:9-13
イエス様が「私に従いなさい」と声をかけたマタイ、彼の家でイエス様と共に食事の席に着いていたマタイの友人の徴税人や罪人たち。
この人たちはファリサイ派に代表される、社会の中心にいる人たちにとって、仲間に入れてはいけない「よそ者」であり、自分たちのルールに従って行動しない「ならず者」でした。
主流派として社会を仕切っている人たちは、自分たちが作り上げたルールを疑うことを知りません。
自分の作り上げたルールによって自分を特権的な地位に置きつつ、そのルールに従って生きることのできない人たちを「ならず者」とし、「よそ者」として排斥する人たちは、自分が人を苦しめる「病」になっていることに気づきません。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である」というイエス様の言葉は、自分の病気に気づかずに医者を嫌う者たちへの皮肉です。
先週、9日の金曜日に、入管法の「改正法案」が参議院本会議の場で強行採決され、成立しました。
これまでは、難民申請中の本国への強制送還はできませんでしたが、今回の「改正」によって、3回目以降は、難民申請中であっても、強制送還ができることになりました。
この国で難民申請の99%以上が却下される現実は、性犯罪の被害者のほとんどが沈黙させられ、泣き寝入りさせられている現実と密接に繋がっています。
性犯罪で言えば、同意無しに性行為が行われたことが明らかであっても、被害者が暴行や脅迫を受けたことを証明しないと、レイプ罪は成立しません。
難民問題で言えば、ヨーロッパの国々やアメリカ、カナダなどでは、紛争を逃れてやって来た外国人には難民としての地位が認められるのに、日本は難民申請をする個人に、自分が戦闘行為のターゲットになったことを証明することを要求しています。
暴力と脅迫を受け、意志に反して性行為を強要されたと証明できるレイプ被害者はほとんどいません。そのために日本では、ほとんどの性暴力の被害者が泣き寝入りさせられているのです。
紛争国から逃れてきて、自分が軍事衝突の標的になったことを証明できる人もほとんどいません。そのために日本では、99%以上の難民申請が退けられるのです。
今回の改正入管法によって、難民申請を2回拒否された人々を皆、不法滞在者として強制送還できるようになりました。
これを「自分には関係ないことだ」と思わないでください。外国人に冷たい国が、国民には優しいなんてことは絶対にありません。
皆さん、イエス・キリストから、「いつくしみ」とは何か学んでください。
